緑に満ちる夜は長く…の感想(ネタバレありです)

こんばんは。

 

先日、大阪のTTホールという劇場で、戸塚祥太(A.B.C-Z)主演の舞台「緑に満ちる夜は長く…」を観劇しました。

戸塚担になってからの舞台は、塚ちゃんの代役の夜曲も含めてすべて(5本)観ているのですが、今回の舞台は個人的にかなり考えさせられたというか、自分の心にクリーンヒットしてしまいました。

 

※ネタバレがあります。

 

 

 

 

あらすじ

HPのリンクです。
真ん中くらいにあらすじがあります。

midori-stage.com

 

書いている通り、戸塚君の役は、4人兄弟の3男の「ユウ」。

父親が失踪し、男四兄弟を女手一人で育て上げた、お母さんを、ユウは一人で看取り、そのことがきっかけで、他の兄弟も集まります。

そこには開かずの金庫があり、それを開けてもらおうと、鍵屋を長男の「ゴウ」が呼んでいて…という話です。

 

ユウはとあるハンデを抱えており、母と一緒に暮らしていましたが、他の兄弟は、既に家を出ており、久しぶりに帰ってきた兄弟。

ただ、その兄弟は、どこかユウに遠慮をしているようです。

 

感想

まず、この舞台のお話を観劇していて、一番、「ユウと自分は似ているが、ユウの方が立派だ」と感じました。

似ていると感じたのは、最初に、「父親がいなくて、母親に育ててもらったこと」ということです。

私は、明言はされていませんでしたが、ユウと同じころに、父親と母親が別居して、その一年後に離婚しています。

母親は女手一つで育ててくれましたが、うちは一般家庭よりは貧乏だったと思います。

(とはいえ、舞台の緑川家は更に貧乏で、お母さんは昼夜問わず働いていたので、一概にそれほどとは言えませんが)

 

ただ、それよりも似ていたのは、父親に対する感情でした。

なんかうまく表現は出来ないのですが、子どものころ、父親が居たらと感じたことが何百回もあります。

大人になった今でこそ、居なくて良かったと思うくらいですが、子どものころ、何故離婚するんだって泣いたことがあります。

(逆に言うと、私はそれが言える子どもだったのですが、母親に笑いながら、何を言っているんだと言われてから、言わなくなりました)

 

ユウの台詞で、印象に残っている言葉があります。

「離婚届は今まで見た、どの紙よりも薄っぺらく見えた」と。

何となく、離婚届を見たユウは、「捨てられた」と思ったのかと思いました。

実際に私も、父親と逢わなくなった理由(養育費を払わなくなった)を聞いた時、「捨てられた」と思いましたし、今もそのことは尾を引いています。

 

それでも、ユウが父親に怒っているのは、別の要件もあって、母親の存在でした。

このお芝居では、ユウはずっと父親に対して怒っていました。

最初観た時は、どうして怒っているのか、少し疑問でした。

他の兄弟は、顔には出さないけど、それなりに父親に対して笑っているんです。

でも、ユウは違います。

鍵屋(実際は父親ですが、ゴウがユウに誰?と聞かれてとっさに鍵屋と嘘を言います)に対して、ずっと怒っています。

 

ただ、最終的に父親に言っていたのは、自分の事よりも、母親の事なんです。

ユウは、四兄弟の中で唯一、最期まで母親と一緒に暮らしていました。

その中で、母親が意識が朦朧として、ユウを父親と勘違いして、「僕を貴方に間違えるんです。手を握らないと寝てくれないんです」と叫んでいた時、「この子は、ただ、お母さんのために怒っていたのだ」と気付いて、優しくて立派な人だと思いました。

 

ユウは、とあるハンデがあり、そのことと、とある事件の影響で、少し他の兄弟から遠慮されており、ユウはそのことを「僕をミソッカスにしている」と表現しています。

ユウは、かなりそのことを気にしているようでした。

 

個人的にずっと思っていたのが、何となくなんですが、ケイ(四男)はそれが顕著だったのかなということです。

ユウとケイが二人っきりになるシーンがあります。そこで、ケイは何か話をしようとニコニコして話すんですが、ユウがかなりそっけないんです。

何と言うか、ケイはユウに対して、どう接していいか分からない感じなのか、なんか他の二人と話しているときと違うんですよね。

それをユウは多分わかっていて、それが「ミソッカスにしている」という風に捉えられていて、嫌だったんじゃないかな…という考察です。

それも分からんでもない、兄弟関係です。

 

ただ、それに対して、舞台の最後で、ケイが「ユウと一緒に住めば?」という兄からの問いに対して「やだよ。ユウちゃん、めんどくさいもん」というシーンがあり、このシーンを観たときに、「この兄弟の雪解けはここなんだな」と、胸が熱くなりました。

 

「誰かを気遣うこと」と「腫れ物に触る」ことは、似て非なるものなのだと感じました。

常日ごろから、「誰かに手を差し伸べたときに、その誰かが気に病まないようにしたい」ということを考えています。

私は、祖母の手伝いをすることが多いのですが、祖母がいつも、少し申し訳なさそうにするので、重荷になっていないよ…と言ってはいるのですが、やはり気に病んでいるのではと、少し考えています。

物語のユウは、多分、そんなこと考えずに、「大好きなお母さんが困っているから手伝おう」と思うのかもしれないです。

そういった意味で、ユウはとても素晴らしい人間であると感じました。

 

まとめ

この劇を観劇して、自分の境遇と全く一緒ではないのですが、それでも、何か自分の胸の内にあるものを代弁してくれている部分があり、個人的に、大号泣してしまいました。

劇が終わって、カーテンコール後、席についても涙が止まらなかったです。

 

この舞台は、あて書きされたということで、元々、かなり楽しみにして、ネタバレ防止のために、3月に入ってから、A.B.C-Zのファン(えび担、ぼたん)さんを沢山フォローしているアカウントも極力見ないようにして、かなりの「えび断ち」をしていたのですが、その甲斐あってか、全くネタバレを踏まずに観劇出来て、良かったです。

 

舞台を観るのは、戸塚くんに出逢って、大好きになりました。

今回の舞台も最高でした。

アイドルと、演劇と、お芝居と、舞台と、私に、出逢ってくれてありがとうございます。